衆院解散含みの政局をにらみ自民党が次期衆院選の公認調整を急ぐなか、05
年の前回衆院選で初当選した「小泉チルドレン」の当選1回議員への逆風が強ま
っている。古賀誠、菅義偉の正副選対委員長コンビが「勝てる候補」を選考基準
に掲げ「チルドレンを優遇しない」との方針を打ち出したからだ。比例単独で当選
したチルドレンが前回同様の名簿上位に掲載されるか不透明なうえ、郵政造反復
党組とぶつかる比例復活組も小選挙区での公認は厳しい状況。「我々は使い捨
てか」と嘆く声も上がっている。

 ◇比例単独優遇に壁

「次の衆院選でも(比例代表の)『女性枠』を設けた方が有権者の理解が得ら
れる。特に猪口(邦子元少子化担当相)さんは前回、執行部からお願いした人だ」

 今月20日、東京都内のホテルであった猪口氏のパーティーで、チルドレンの「
後見人」を自任する武部勤元幹事長は、次期衆院選での比例優遇を訴えた。前
回選挙で、比例単独で当選した新人は14人。猪口氏は比例東京ブロックの名簿
1位だったほか、北信越ブロックで長島忠美氏、近畿ブロックで近藤三津枝氏がそ
れぞれ名簿1位と優遇された。

 しかし、菅氏は25日の講演で「小泉チルドレンが今回も優遇されると思って選挙
運動を行っているなら、大きな間違いだ」と強調。比例での優遇措置には否定的だ。

 前回の比例名簿順位が下位の当選者は、仮に比例単独が認められても当選はおぼ
つかない。選対幹部は小選挙区への転出を促しており、杉村太蔵氏(南関東ブロック
35位)が北海道1区、鈴木馨祐氏(同34位)が神奈川7区で有力となっている
ほか、大塚拓氏(東京ブロック29位)は東京5区に意欲を示す。ただ、前回衆院選
で大勝したあおりで空白区は残り15小選挙区しかない。前回、東京ブロック27位
で滑り込んだ安井潤一郎氏は「我々を落として、従来の政治のプロと世襲議員だけに任
せれば、自民党は国民から
信頼されない」と処遇を求めるが、認められそうもない。

 ◇「刺客」にも危機感

 また、郵政民営化に造反、小選挙区で当選し復党した議員が比例代表で復活した「
刺客」の当選1回組とぶつかる4小選挙区の公認調整も厳しい。復党組の野田聖子元
郵政相と佐藤ゆかり氏が争う岐阜1区では23日、自民党岐阜市支部の会合が開かれ
両氏が出席した。玉田和浩市
連会長は「片方を殺して片方を生かすことはできない。(佐藤氏の転出を)党本部が
するなら、1区で議席を守るのは難しい」と、党本部のトップダウンによる決定をけん制し
たが、実際には県連内の調整は困難とみられる。

 菅氏は4小選挙区について「どちらも自分が一番だと思っている。客観的な数字を示さ
ないといけない」と、党独自の世論調査などを調整の基準とする考えを示唆。これまでの
調査では知名度、組織力ともに勝る復党組優位の選挙区が多いという。「チルドレン」の
一人は「若さや将来性を考慮して育ててほしい」と復党組の高齢批判を展開したり「現在
の小選挙区支部長は前回公認された私だ」と筋論を訴えるなど懸命だが、前回、小選挙
区を制した復党組は公認への自信を深めている。仮に分裂選挙になれば民主党が「漁夫
の利」を得る展開も予想されるだけに、執行部も綱渡りの調整を強いられそうだ。【野口武則】

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