【ピスコ(ペルー南西部)庭田学】500人以上の犠牲者を出した南米
ペルーの大地震で、被災者への救援物資が都市部の被災地に集中し、貧
しい人々が暮らす地方の農村部にほとんど届いていない。震災から3日目
にようやく届いた飲料水が、1人当たりコップ1杯にも満たないわずか40
CC以下という集落もあり、被災者からは政府や自治体への怒りが噴出し
ている。
 数百人の犠牲者を出したピスコから東に約30キロ離れた集落マンリケ
。粗末な日干しれんがで造られた家屋の8割は損壊し、180世帯約5
50人の大半が屋外での避難生活を強いられている。
 「きのう(17日)、やっと政府からの救援物資が届いた」。地区長の
セシリア・ファハルドさん(50)が言う。550人の被災者の手に渡った
のは飲料水20リットル、コメ50キロ、砂糖50キロ、乾燥パスタ10
キロ、食用油12キロ。コメは1人当たり90グラムにしかならない。住
民ら数十人は口々に「支援がほしい。もっと食べ物と水を」と訴えた。
 さらに27キロ東方の集落ウマイも似た状況だ。ヘリコプターで視察に
訪れた政府要人が救援物資を届けたが、「90人にコメ5キロ、水20
リットル、牛乳6パック、毛布15枚。これではどうにもならない」と、タ
クシー運転手のホセ・チャベスさん(32)が怒りをぶちまけた。保健師
のビクトリア・エスピノサさん(25)は「支援物資が届くのはピスコのす
ぐそばの町まで。地方の農村は完全に忘れ去られている」と憤った。
 ウマイからピスコへの帰路、プラカードを持った子供や女性たち約10
人が、記者が乗った車の前に立ちはだかった。主婦のアメリア・アルダベ
さん(40)が「私たちが暮らすサンイグナシオは地図に載っておらず、
まったく援助が来ない。ウマイには物資が届いたのに。何か食料を下さい
」と、袋を差し出した。
 ピスコには、首都リマから支援物資が次々に届けられている。被災者は
「不十分だ」と不満を口にするが、有名ピザチェーン店や宗教団体も物資
を運び込んでいる。リマでは市民から寄せられた支援物資が山のように積

まれているが、肝心の被災者たちに満遍なく届けられていない。
 ピスコ中心部に本部を置く救助消防隊のアルフォンソ・パニソ本部長は、救
援物資が地方の被災者に届いていない状況を「自治体幹部はイスに座って
いるだけで何もしない。この国には災害への対応能力がない。歴代政権が
災害対策を怠ってきたツケだ」と政府を非難した。
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